カナダでは、学校に行かないを選択した場合「ホームスクール」としてその州の教育委員会に届けを出すことで(州によって厳しい条件などあり)、日本でいわゆる表現される「不登校」ではなく、「ホームスクーラー」として合法として認められ尊重される仕組みがあります。
カナダは、州によってホームスクールになるための条件がかなり違います。オンタリオ州のように、申請するだけであとは各家庭の裁量で自由にできるところもあれば、ケベック州のようにしっかりした管理のもと、学校に近い状況で学習環境や成果を要求される州もあります。
条件を満たさなければ、違法とみなされ警察や児童相談所へ通報されるケースもあったりと、学校に行かない=ホームスクールの選択肢はきちんと尊重されるけどもその反面、子どもの学習環境を整えることが親の責任として課せられる傾向が強いという印象です。
このYoutubeの動画でわかりやすくまとめられています!英語ですが、自働翻訳で日本語でも視聴できますので、興味ある方は参考にご覧ください。
カナダの各州でのホームスクールに関する法律やガイドラインの状況
アルバータ州 (Alberta)
アルバータ州では、ホームスクールは合法です。教育省に対して通知が必要で、教育省は学習計画や進捗の報告を求めることがあります。アルバータ州のホームスクールの生徒数は21,131人(2022年〜2023年の統計)。
ホームスクールを選択する場合、以下の2つの方法が選ぶことになっています。
1)学校の監督を受ける場合(資金提供あり)
2)学校の監督を受けない(通知のみでOK、資金提供なし)
ホームスクールを始めるにあたって、「アルバータ州ホームスクール協会」というホームスクールをサポートする団体があり、いろんなイベントやホームスクールをする上のでガイドブックなどが利用できたりとサポートがしっかりしている印象です。
ブリティッシュコロンビア州 (British Columbia)
ブリティッシュコロンビア州では、ホームスクールは合法です。他の州と少し違うところは、ブリティッシュコロンビア州でホームスクールを選択する場合は、公立の学校または民間の学校に申請をし、承認をしてもらう必要があります。学校でホームスクールとして登録がされると、その学校からの出席や成績の反映、教材の提供などをうけることはできますが、それを拒否する自由もあるとのこと。
ただ、学校への登録がされない場合は、教育省からのチェックが入るようで、子供が教育プログラムを受けておらず、保護が必要であると判断した場合は警察や児童相談所への連携がとられる場合があるそうです。
マニトバ州 (Manitoba)
マニトバ州では、ホームスクールは合法ですが、マニトバ州でのホームスクールの条件は、他の州と比べると少し厳しめです。定期的に、ホームスクールの状況を教育委員会に提出する必要があったり、学校に行かない選択するためのそれなりの理由が必要となるようです。
以下の理由があれば、ホームスクール生徒として承認がおりるとのことで違法では無いと記載されています。
- 教育行政法に定義されているように、子供が私立学校に定期的に通っていること。
- 現場代表者は、その子供が現在、自宅またはその他の場所で公立学校で提供されるのと同等の教育水準を受けているとの意見で証明する。
- 子供が病気またはその他のやむを得ない理由により学校に通うことができない、または第 261 条第 2 項に基づいて出席から除外されている場合。
- 子どもが所属する教会または宗教宗派によって聖なる日とみなされる日は、子どもが学校を欠席する。出典:https://www.edu.gov.mb.ca/k12/schools/ind/homeschool/legislation.html
Homeschooling, Manitoba Education and Early Childhood Learning
ニューブランズウィック州 (New Brunswick)
ニューブランズウィック州では、ホームスクールは合法です。他の州と比べても、ニューズブラウンズウィック州のホームスクールは非常に自由度が高く、最初にホームスクールの申請をするだけでOKのようです。サポートも丁寧で充実しています。
ニューファンドランド・ラブラドール州 (Newfoundland and Labrador)
ニューファンドランド・ラブラドール州では、ホームスクールは合法です。ただ、他の州に比べてかなり厳しめな条件が課せられています。まず、最初の申請時にしっかりとした学習計画を提出する必要があり、その後も定期的なレポートや作品の提出が求められます。
ホームスクールコーディネーターという担当者のサポート介入があり、卒業資格を得るためには、ホームスクール生徒のためのテストも実施されるとのこと。学ぶ必須科目も規定があるようですね。
ノバスコシア州 (Nova Scotia)
ノバスコシア州では、ホームスクールは合法です。ただ、定期的にホームスクールの進捗内容や子どもが熱心に勉強してるかどうかの状況を提出する必要があるようです。
オンタリオ州 (Ontario)
オンタリオ州では、ホームスクールは合法です。他の州と比べるとかなりホームスクールには理解があり柔軟な対応です。最初にホームスクールの意思を提出するのみで、それ以降は各家庭の方針にお任せで自由なホームスクールが実践できるようです。
プリンスエドワードアイランド州 (Prince Edward Island)
プリンスエドワードアイランド州では、ホームスクールは合法です。他の州と比べてもホームスクールに関して柔軟な対応で、最初の申請のみであとは各家庭の方針に任せています。
ケベック州 (Quebec)
ケベック州では、他の州と比べてもホームスクールは法的な規制が最も厳しく、特別な許可が必要です。ホームスクールが認められるには、学校に近いレベルの教育が提供される必要があり、以下の内容を満たす必要があります。
- 学習プロジェクトの特徴
- 学生の進歩の年次評価
- 学習プロジェクトまたはその実施に関連する問題が発生した場合に適用されるプロセス
内容としては、3〜5ヶ月ごとの学習の進捗情報の提出や、定期的な面談、評価、年間の最終レポート提出などが義務付けられています。
サスカチュワン州 (Saskatchewan)
サスカチュワン州では、ホームスクールは合法です。サスカチュワン州では、全学生の1.34%(2608人)がのホームスクールをしています(2018〜19年度報告)。サスカチュワン州では、ホームスクールに対して以下の報告書に記載んの通り、教育の効果としても肯定的な捉え方をしているようです。
ただ、ホームスクールを申請する際には、詳細の学習計画を提出する必要があるようですね。
※具体的な現在の要件や手続きは各州・準州の教育省や地元の学校ボードのガイドラインで随時ご確認ください
カナダでのホームスクールへのサポート体制は?
カナダでホームスクールを行う際には、基本以下のようなサポートが利用できるようです。ただし、具体的なサポートは地域や州、学校によっても異なるため、住んでいる教育機関や専門家との連携は必要です。以下は一般的なホームスクールのサポートの例になります。
カナダ教育省のガイドラインとサポート
カナダでは、幼稚園から中学生までが、義務教育期間となっていて、公的資金による教育が提供されています。
ホームスクールはカナダでは合法となっていて、各州や準州の教育委員会ごとに必要な手続きや学習計画の作成方法などが定めらています。
その内容についてホームスクールに関するガイドラインや情報が各州の教育省のHPにも掲載されています。
ホームスクーラーのための教材とリソース
教育省や学校は、ホームスクールの生徒や親に対して、教科書、オンライン教材、参考資料など必要な教材や学習リソースを提供しています。
自宅から学習するツールやコンテンツなどの提供も各州ごとにされていています。
例えばオンタリオ州では幼稚園から中学生までカテゴリー別に分類され、オンタリオ州の認定教師によって開発されたカリキュラムに沿ったビデオ、アクティビティ、無料の学習リソースなどが提供されています。
ホームスクーラー向けの専門的なサポート
一部の地域では、ホームスクールの生徒に対して、特別な教育ニーズに対するサポートや個別指導など専門的なサポートが提供されることがあります。
教育コーディネーターとの連携
ホームスクールの生徒や親は、必要なサポートやリソースにアクセスするために学校や地元の教育コーディネーターと連携を取ることができます。
ホームスクーラー向けのオンラインコミュニティ
ホームスクールの親や生徒は、オンラインのホームスクールコミュニティやフォーラムを利用して、情報を共有し、経験などを情報交換する場が多くあります。
例えば、右掲載のように、各地域のホームスクールグループがフェースブックで作れられていて、日々の情報交換やお出かけやイベントへ誘い合ったりとホームスクーラー同志の交流が活発に行われています。
私が滞在していたカナダオンタリオ州ミシサガというところでも、ミシサガのホームスクールコミュニティグループがありそこには約1000家庭のホームスクーラーのメンバーが参加していて、日常的な交流の場になって活用されていました。
地域のリソースと活動
地域には、社会化や学習の幅を広げることを目的とした、ホームスクールの生徒が参加できるアクティビティやクラブ、イベントがあります。
例えば、オンタリオ州の博物館などではホームスクーラーのためのプログラムも日常的に開催してるなど、ホームスクールの生徒が社会の中で学ぶ機会が多くもてるような仕組みが整えられています。
※ホームスクールのサポートは、地域によって異なります。ホームスクールを検討している場合は、地元の教育機関や学校ボードのウェブサイトを確認してください。
(参考:ChatGTPより)
考察・まとめ
日本では、学校に行かない場合は「不登校」扱いで、必要な学びのサポート体制が受けられない体制という状況が問題視されていますが、一方でカナダのように、学校に行かない場合の条件が厳しくは無いので、逆にいうと、ある意味自由な学びの選択肢が柔軟にとれるという点は、考え方によってはいい面でもあったりするのかもしれません。
どちらも一長一短ありますが、カナダの場合、学校に行かないホームスクールの学びの選択肢が社会的に尊重されてるということは、価値があることなのかなと思います。
カナダの中では、オンタリオ州の制度が最も柔軟で、各家庭の価値を尊重したやり方なので、ホームスクールを選択しやすいのではないかと思いました。カナダでも州によってかなり条件が違うので、カナダでホームスクールを選択する場合は、そのエリアの状況をよく調べてスタートする必要がありそうですね。