行政のゲーム規制の動き、岐阜県の4時禁ルールなど「子どもの権利条約」に違反してないか調査

香川県や大阪市の子どもたちのスマホやゲーム時間の規制化や、先日スッキリなどでも取り上げられていた岐阜県の学校での4時まで外出禁止の4時禁ルールなど、行政や学校が、子どもたちの行動に対して規制する動きや事例が、多くメディアでもとりあげられ、SNS等でも多くの議論を呼んでいます。

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今回、これらの子どもたちへの規制が、国連の定めた子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」に違反しているんじゃないか?という懸念が生じたので調べてみると、SNSでも同じように「子どもの権利条約違反」と声が複数あがっていたり、また、香川県庁健康福祉部の方が実名で香川県ゲーム規制条例の問題点として「子どもの権利条約」との矛盾を論じられていて、やはり、ここは議論の余地があるんじゃないかと思い、記事として取り上げてみることにしました。

1989年に国連で採択された子どもの権利条約では子どもを守る規定が定められていますが、前述のようなネット・ゲーム規制はこの条約のいくつかの条項に抵触することが考えられます。(出典:https://www.facebook.com



「子どもの権利条約」とは?

すべての子ども(※18歳未満と定義)が持つ「生きる」「育つ」「守られる」「参加する」権利を保障するために、1989年に国連総会で採択された、基本的人権が子どもにも保障されるべきことを国際的に定めた条約です。

社会の一員である子どもを権利を有する主体として認めるこの条約は、日本を含めて196の国と地域が締約(※2019年時点で)しています。

日本は1990年(平成2年)9月21日にこの条約に署名して、1994年5月22日からこの条約の効力が、国内でも生じています(のはずなんです)。

ただ、日本では認知がまだそれほど進んでいなく、この条約を知らない人も多いというのが現状かもしれません。

「子どもの権利条約」 には、主に4つ原則(生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利)があって、それをもとに、条文が記されています。

・生命、生存及び発達に対する権利(命を守られ成長できること)
すべての子どもの命が守られ、もって生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、医療、教育、生活への支援などを受けることが保障されます。

・子どもの最善の利益(子どもにとって最もよいこと)
子どもに関することが行われる時は、「その子どもにとって最もよいこと」を第一に考えます。

・子どもの意見の尊重(意見を表明し参加できること)
子どもは自分に関係のある事柄について自由に意見を表すことができ、おとなはその意見を子どもの発達に応じて十分に考慮します。

・差別の禁止(差別のないこと)
すべての子どもは、子ども自身や親の人種、性別、意見、障がい、経済状況などどんな理由でも差別されず、条約の定めるすべての権利が保障されます。

(出典:https://www.unicef.or.jp

 

この「子どもの権利条約」の中で、今回の行政や公教育においての規制に対して、矛盾していないか?違反ではないか?と気になる箇所をピックアップしてみました。

12条 子どもが「自由に自己の意見を表明」
できてる?

第12条
締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。
このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。(出典:https://www.unicef.or.jp

まず、12条。「児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利」の部分ですが、スマホの時間規制や外出禁止令は、明らかに「児童に影響を及ぼす」事柄ですが、これに対して子どもが「自由に自己の意見を表明」できる状況になっていますでしょうか?

岐阜県の小中学校の「4時禁ルール」では、違反した場合、見つかると20枚以上も反省文を強要するなどの対応を学校側がしているケースもある事から、「自由に自己の意見を表明」できる状況になっていないと考えられますよね。

香川県ゲーム規制条例に関しても、これに関して子どもが「自由に自己の意見を表明」できる状況になっていますでしょうか?

13条 子どもの「表現の自由についての権利」
奪ってない?

次に13条。

第13条
児童は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。(出典:https://www.unicef.or.jp

「児童は、表現の自由についての権利」とありますね。「芸術の形態又は自ら選択する他の方法」により「あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由」の権利があるんですよね。

子どもの表現方法は、ゲームを通してだったり、LINEやSNSを通してだったりする場合も今は多いかと思うのですが、それを1日1時間で、どれだけ表現できるんでしょうか。

特に、不登校の状況下の子どもの場合は、周囲とのコミュニケーション手段がオンラインゲームやネットに限定される場合も多いです。それで自己表現をして、心が救われているケースも大きくあると思います。

それを、1日1時間って。これ、子どもの権利、奪っていませんか?

14条 子どもの「思想の自由」の権利、
尊重されてる?

そして、14条。

第14条
締約国は、思想、良心及び宗教の自由についての児童の権利を尊重する。

思想、良心及び宗教の自由」の権利。例えば、私の子どもは、父親がゲームを作る仕事をしている影響もあり、将来の夢は「ゲームを作る事」です。ゲームが大好きで、ゲームを作るプログラミングにも興味を示してパソコンも学び始めています。

この子どもの、夢を叶えるためにやりたい、学びたい、追求したい、好き、という「思想」。1日1時間と規制されることは、この思想の自由の権利を奪っていませんか?

「将来サッカー選手になりたい」という子どもに対して、1日サッカーは1時間のみ!と規制されたとしたら、その子どもはどんな気持ちになってしまうでしょうか。

自分の夢が潰された気になってしまわないでしょうか。

今回の香川県の規制条例は、子どもの思想の自由を潰してしまうものになっていないでしょうか?

16条 通信に対して「干渉」されてない?

また、16条も気になります。

第16条
いかなる児童も、その私生活、家族、住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉され又は名誉及び信用を不法に攻撃されない。
児童は、1の干渉又は攻撃に対する法律の保護を受ける権利を有する。(出典:https://www.unicef.or.jp

通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉され」ない権利。通信の中身などプライバシーの干渉はないとしても、香川県、通信の利用(時間)に関しての「干渉」をしています。この16条の捉えられ方が、気になるところですね。

 

31条 「休息及び余暇」において、
「平等」に「自由参加」できてる?

今回話題になっている、香川県の「ゲーム規制条例」、岐阜県の「4時禁ルール」は、特にこの31条にかなり抵触しているんじゃないかという印象も受けています。

第31条
締約国は、休息及び余暇についての児童の権利並びに児童がその年齢に適した遊び及びレクリエーションの活動を行い並びに文化的な生活及び芸術に自由に参加する権利を認める。
締約国は、児童が文化的及び芸術的な生活に十分に参加する権利を尊重しかつ促進するものとし、文化的及び芸術的な活動並びにレクリエーション及び余暇の活動のための適当かつ平等な機会の提供を奨励する。(出典:https://www.unicef.or.jp

岐阜県の「4時禁ルール」に関していうと、放課後の「休息」「余暇」の時間を「外出禁止」にして、「その年齢に適した遊び及びレクリエーションの活動を行い並びに文化的な生活及び芸術に自由に参加する権利」を禁じていますからね。

「平等な機会の提供」もできていませんね。なぜに、岐阜県の小中学校の子どもだけ、「余暇の活動」に縛りが発生しているのでしょうか。

また、ゲームの時間規制に関しても、「自由に参加する権利」は尊重されているのでしょうか?

1日1時間と決められていて、それは「自由に」と言えるのでしょうか?
香川県の子どもだけ、何故1時間と決められてしまうのでしょう?
これは「平等な機会の提供」に反しませんか?

そもそも、このルールを決めた教育関係者の方々は、この「子どもの権利条約」への認知はどのくらいあったのででしょうか?

日本も締約している、子どもを権利を尊重するための国際条例「子どもの権利条約」の内容と今一度照らし合わせ、行政や学校の規制なるものが、本当に子どもの権利が尊重されたものかどうか、子どもの権利が無視されたものではないか、をよくよく検討していただきたいと願っています。




参考文献・メディア

日本ユニセフ協会

子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)は、世界中すべての子どもたちがもつ権利を定めた条約です。1989年11月20日…

子どもの権利条約について掲載しています。プラン・インターナショナル・ジャパンは、貧困や差別のない社会を実現するために世界…




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